2008/01/18

listen

人間には地球には一日に24時間しか無いのはなぜでしょう。

やっと一つ山を超えました。

お正月前からこのオーディションの事ばかり考えて
考える時間はあっても練習する十分な時間が取れず
頭の中で練習するしか無いと、日々ずっとその曲を考えて
指の動かし方、変え指の使い方、音量の出し方、
ブレスの仕方、体のたち振る舞い、息の温かさ、
とにかくずっと曲についてばかり考えていて
実はあまり他の事に記憶が乏しく、たぶん殆ど話を聴いて
居なかったのではと思います。

時間が取れればもちろん優意義に練習を充実して出来たと思いますが
今やそんな時間は学生では無いのでなかなかとれません。
なので暇さえあれば、机の上で指の独立運動をしたり
(友達に以前教えてもらった方法で、消しゴムとかを机に置いて
各指先でこすったり跨いだり・・・)暇さえあれば曲の背景を調べて
どんな時代のどんな場所でどんな人の中で演奏していたのかと
妄想をしてはイメージトレーニングをしては
時間が一瞬とれた時に10分でも20分でも楽器を持つと
なかなかこれがうまくいかず。
妄想で出来あがってる音楽感に現実が着いて来れず
ではどうしたらその不得意な部分がなおせるのか、また妄想に突入。

私が最近足を引きずって歩いてたのを見たかたは、
たぶん、その妄想中だったんだと思います。
なぜなら今回演奏した曲が「サラバンド」だったから。
伴奏をまた引き受けてくれた親友アユミさんとのレッスンで
「サラバンドって重い三拍子のワルツで厳格なイメージでね・・・」
と説明されて・・・
(私が無知な為、ほんっとうにいつもチーチーパッパな
私に懲りずに色々伝授してくれて私の曲奏もほとんど彼女あって
やっと出来上がるという感じでほんっとうにいつもありがとぅ・・・)
・・・それがどうにもイメージできず、サラバンドについて図書館に行って
調べて、様々なサラバンドの曲を聴いてもどうもつかめず、
いつも頭の中では重々しいワルツで足を引きずるようにしながら
踊るゆっくりのワルツを考えていたので、そのモードに入ると
足をひきずっていました。。。

クラシック音楽は色々好きな時代や作曲家が居るのですが
特に自分が好きだなあと思うのはバッハやモンテヴェルディで、
でもなかなか最近自宅でゆっくり聴く時間が無かったのですが
片っ端から聴きました!その時代のイメージを膨らませたくて。
でも聴くと気持ち良くてすぐに夢の中に落ちてしまって・・・・笑

なんだかんだ、本番直前まで未だ解決出来てない部分が
多かったのですが、もう時間が無いので不安を残したまま、
会場へ向かいました。

早めに着いてしまったので、スタッフの方に
「音だしをしたいので部屋をご用意できますか?」と聴くと
一つ部屋をくださいました。
そこでピアノと合わせて待っていると、ノックされて
いよいよ出番です。

緊張、しなかった。
なんで緊張してないんだろう、とふと思ったのですが
曲が始まって演奏をはじめてるときに、体を動かしたら
スポットライトを感じました。あったかい・・・
なので不自然にならない様にライトの位置まで移動して
温かいライトを浴びながら演奏し続けました。

演奏の途中で今までどうしても持って行ききれなかった
盛り上がる部分、16分音符の後で32連符でそのまま
クレッシェンドして溜めて歌う部分。
そこの前に来た時に、目を閉じました。

目を閉じて、自分が演奏している事を忘れて
指先や息はとても慎重に働かせていましたが
もうひとりの自分で、自分の演奏している音を
聴く様にしました。

自分が演奏している時、どうしても「吹く」や「弾く」に
集中してしまい、実際にそれを一つのフレーズとして
後で聴くと、自分のテクニックに合わせての演奏なだけで
うまくつながってない事とかあるのです。

前日のリハーサルでピアノのアユミさんが
「弾くんじゃなくて聴くってピアノを演奏していてとても大事な事」
と言っていたのを思い出して、サックスでも同じだと思い、
弾くや吹くではなく、もうひとりの自分で聴いてみました。
聴いてると、自分の好きなフレーズ感を壊したくないので
聴きたい様に演奏出来る(しようと出来る)んです。

本番のステージで「聴く」事の大事さに気づいて
今までは頭の中でわかってたつもりだけど、実際に聴く側に
立って演奏しつつ聴いてみるとこんなにも気持ち良いフレーズを
作れるんだと、その場で気がついて感動しました。
もちろんそれを作り上げる為に、ブレスの位置を変えたり
息が苦しいけれど止まってはいけないからなんとか持ちこたえたり
指のクロマティクスな部分を流れる様に聴きたい為に
流れる様に動かさなければならなかったりで
もうひとりの自分は必至でもがいていましたが
自分なりに、なんとか乗り越えられた気がします。

その後、新曲と言って初見で渡された楽譜を演奏するものもありました。
これがありがたい事に私は得意な方なので、どんな曲が来るのか楽しみに
していたのですが・・・・超簡単だった譜面事態は!

・・・ということは、ここで喜べないのです。
簡単に見える白めの譜面こそ、とても難しく、
どのように一瞬たった1分の間で曲奏を考えて
どう想いを伝えるかを考えなければいけません。

逆に難しく見える曲こそ山が見えやすいのですが
シンプルな曲こそやり過ぎてもいけないし足りなくても行けない。。。
・・・とか考えつつ、とにかく素直に演奏しようと心がけました。

無事、終わってホールのドアを開けた瞬間、
雪崩れ込む様に熱くなって涙が出ました。
自分の評価としては正直、10点も出せません。
まだまだ未熟で情けないと改めて思いました。
そんな自分の音楽を信じてついてきてくれてるお弟子さんを
思い出して、携帯に電源を入れ直してみると
生徒達からたくさんの応援メールが届いていて
丁度開始時間の2時30分に電源を切っているのを知ってるのに
その時間にそれぞれの場所で応援してくれて
メッセージを送っていてくれた事が、とても嬉しかったです。
一緒に居てくれたんだなぁみんなも。


無事、オーディションは突破しました。
二束のわらじ、そして自分を見失って流されやすい自分が
久しぶりに自分らしく居られた事が嬉しくて
気持ちを入れ替えて頑張ろうと会場を出ました。

ご声援ありがとうございました。
またこれからもがんばります。


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